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58話 皇女の頭を撫でる男

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-11-18 06:00:45

「軍事演習じゃ無かったら外の兵は何なんだ?」

 俺は、牢屋の外から聞こえる騒音について尋ねた。

「見ていないのに、兵士だとお分かりになられるのですか?」

 不思議そうな表情をして首を傾げ、ミリアが聞いてきた。その青く透き通った瞳は、俺の持つ情報に疑問を抱いている。

「そりゃ……軍人ぽい男の声と防具の音に馬の鳴き声がすれば大量の兵士だろ?軍事演習か戦争か大規模な反乱でも?」

 俺は、聴覚で捉えた情報から、可能性のある状況を冷静に分析して伝えた。

 王城の周りが騒がしいんだから、だいたい想像がつく。イベント事だったら楽しそうな雰囲気だし、今回は楽しそうな雰囲気はない。そうなると、兵士が集まってるか暴動で民衆が集まってるくらいだろう。暴動だったら城内がもっと騒がしくなるだろうし、外も騒がしく怒鳴り声が聞こえるだろうし……あとは兵士が集まっているんだろ?静かに大勢集まっていて馬もいるとなれば、兵士の集まりだ。

「えっと……最後に言われた反乱に近いですわね……」

 ミリアは、複雑な表情でそう認めた。

「そっかぁ……役に立てなくて悪かったな」

 俺は、何故か牢屋で寝ていただけの状況に、申し訳ない気持ちを抱いた。

「大丈夫ですわ……武力の衝突はありませんでしたし」

 ミリアが、ユウヤに抱きついてきた。その小さな体が、ユウヤの胸にすり寄る。青く透き通った瞳は、俺の無事を確かめるように見つめていた。彼女の安堵した吐息が、俺の服の上から伝わってきた。

「ううぅ……本当に心配しましたわ……」

 抱きついてきたミリアの頭を、ユウヤは優しく撫でた。柔らかな金色の髪の感触が指先に心地よい。ユウヤもまた、ミリアの小さな体をしっかりと抱きしめた。彼女の震えが少しずつ収まっていくのを感じる。ミリアの甘い香りが、ユウヤの鼻腔をくすぐる。

「それで用事は済んだの?」

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